新お召し車両E655系登場!

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 先日、「1号編成」に代わる新しいお召し専用車両、E655系がついに登場しました!
 製造元である東急車輛を出場したのは2007年7月5日。私は出場当日、大宮駅で取材を敢行!
 そのレポートを、写真を添えてお送りします。
 でもその前に、E655系についての説明をしましょう。

「お召し列車」とは?
 天皇陛下をはじめとする皇室の方々及び付き添いの宮内庁職員を乗せて走る特別列車です。主として天皇陛下が地方で国事を行ったり、
巡業や休養のためにお出かけになる際に運転されます。時には、外国の王族などVIPの方々が天皇陛下と国内の観光をされる際の
移動手段としても使われています。
 なお、お召し列車の形態には3つのタイプがあります。
  @一般の車両を貸切にして特別列車を運転する形態。これまでに0系、681系、E351系などがこの任に当たっています。
  A定期列車のグリーン車を利用し、一般旅客と同じ列車に乗車する形態。主として皇太子ご一家が那須御用邸に静養に行かれる際、
   この方法を採っています(この場合利用するのはE2系・200系「なすの」またはE4系「Maxなすの」)。
  B専用の車両によって特別列車を運転する形態。
 このうちBは、JR東日本が運転を担当しています。現在は後述する「1号編成」が専用車両です。

専用車両の種類
 お召し列車の専用車両はJR東日本が保有しています。具体的には以下の通り。
  電気機関車・・・EF58-61号機(田端運転所所属)
  ディーゼル機関車・・・DD51-842号機(高崎車両センター所属)
  客車・・・「1号編成」(皇室用客車、尾久車両センター所属・東京総合車両センター常駐)
  直流急行形電車・・・157系クロ157-1(田町車両センター所属)
 機関車はお召し運用だけでなく各種イベントや団体臨時列車でも使用されているので、その姿を見た方も多いことでしょう。
なお、どの車両も「ATS」を装備している路線で運用可能で、「ATC」線区では運用されません(言い換えれば北海道には入線しない)。

「1号編成」とは?
 お召し列車の専用車両として、戦前から前後にかけて製造された木製ないし鋼製の客車5両による専用編成のことです。
5両のうち1両は「御料車」と言い、車体側面に菊の御紋が取り付けられているのが大きな特徴です。この車両に皇族の方が乗車されます。
残り4両は「供奉車」と言い、同行する宮内庁職員及び警護担当の要員、そしてJRの職員が乗車します。荷物室のついている車両も
あり、大きな荷物はそちらに積み込んで運転します。
 「1号編成」は原則として、EF58-61号機が牽引することになっており、非電化区間でのみDD51-842号機が運用されます。
 運転の際は、事前に東京総合車両センターにおいて特別整備を受け、ピカピカに磨かれた状態で運転します。

皇室用客車とは?
 前述の「1号編成」を含め、お召し列車の専用車両として製造された客車のことです。御料車・供奉車ともに形式は定められていません。
見分け方としては、1桁の数字を与えられている車両が「御料車」で、3桁の数字を与えられている車両が「供奉車」です。
 大正期には既にありましたが、これまでに廃車になった車両も数多く存在し、現存車両は8両です(うち5両が「1号編成」、3両は予備車)。
廃車になった車両の中には、2007年10月14日オープンの「鉄道博物館」に展示されている車両もあります。

1号編成の置換え計画
 1号編成は長らくお召し運用に従事してきましたが、どの車両も既に車齢40年を越えており、保守に問題が出てきたことから、2001年、
JR東日本は置換えを発表しました。置換えに当たっては、電気機関車の牽引が不要な交直流電車「ハイグレード車両」を新製し、
必要に応じて同じく新製の「特別車両」を組み込むことで運用を賄うこと、非電化区間ではディーゼル機関車による牽引も可能にすること、
「ハイグレード車両」はジョイフルトレイン兼用とし、一般客も乗車できるようにすることが決まりました。
 そして、置き換え用車両として登場したのが、このE655系なのです。

E655系の概要
 E655系の編成はこのようになっています。
  ←大宮 クモロE654-101+モロE655-201+特別車両(番号なし・保守上の番号はE655-1)+
       モロE654-101+モロE655-101+クロE654-101(ディーゼルエンジン搭載) 上野→
 特別車両は現行の御料車に代わる車両です。残る5両は「ハイグレード車両」で、1号編成のような重厚な造りになっています。
配置は特別車両が東京総合車両センターで、残り5両が尾久車両センターとなっており、尾久には初めて電車が配置されることになります。
しかし、運用スタイルを考えると全6両が東京総合車両センターに常駐することになるかも知れません(東京総合車両センターには、
皇室用車両の保管と整備を行う部署があります)。
 車内の様子については、取材した時にはよく分からなかったので、報道公開を待ちましょう(座席は新幹線のような重厚な2+1クロスです)。
 なお、クロE654形に搭載されているディーゼルエンジンは、非電化区間での発電用です。

E655系のデビューまでの動き
 E655系は現在尾久車両センターにあり、特別車両の内装工事を宮内庁と共同で行っています。それが終わると、報道公開→試運転→
お披露目のお召し運用という流れでデビューするでしょう。

置き換えられる車両
 E655系の投入により、以下の編成が置き換えられる予定です。
  《EF58-61、「1号編成」含む客車8両、クロ157-1、尾久車両センター所属の14系ジョイフルトレイン「ゆとり」》
 このうちEF58については、将来鉄道博物館で静態保存されることが既に決まっています。また、「1号編成」についても、全車廃車になる
のではなく、一部が保存されるのではないか、と考えられます。
 「ゆとり」は2008年3月での引退が告知されており、後釜としてE655系のジョイフルトレインとしての運用が考えられますが、
計画の変更により、別の新型ジョイフルトレインでの置き換えになるかも知れません。

 如何でしたか。では、いよいよお待ちかね!取材の様子を写真つきでご覧いただきます。
E655系だけでなく、大宮総合車両センターの写真などもありますので合わせてお楽しみ下さい。

 というわけで、E655系の取材は有意義なものでした。
 今後、お召し列車としての運用が始まると、このように駅で撮影することはかなり難しくなるので、貴重なものとなりました。
E655系の今後に、皆さん期待しましょう!

 ・・・それにしても同業者多かったよなぁ〜(完)

 ★このE655系のその後の動きなどの情報は、「鉄道ニュース&コメント」にございます。併せてご覧下さい。
 ★当日の甲種輸送区間や牽引機の情報は、「鉄道ニュース&コメント過去ログ」7月5日をご覧下さい。

▼大宮総合車両センターに
 入場する255系

▲工場内で入れ換え中の
 豊田電車区所属115系

▼入場中の中原電車区所属
 205系(こちらに関連記事)

▲255系の妻面を見る

▼工場内の255系と205系、
 さらには107系を見る
 ・・・にぎやかですね

▲湘南新宿ライン運用に入る
 国府津のE231系K-18編成

▼出場間近のJR貨物・仙台所属
 ED75-1034(こちらに関連記事)

▲115系を入れ換え中の
 DE10(双頭連結器装備)

▼E231系の側面表示
 新宿経由快速宇都宮行き

▲10番線を通過する貨物列車
 牽引機はEF66-114号機

▼工場内に進入するJR貨物の
 EF65-1090号機

▲E231系の側面表示 快速
 湘南新宿ライン宇都宮線直通

▼クロE654-101を捉えた!
 大きな画像はこちら

▲E655系を牽引してきた
 EF65-1104号機

▼E655系の側面表示は
 フルカラーで号車表示もつく

▲クロE654-101の車両番号
 側面には3本の金帯がある

▼白い布で包まれ、大宮支社の
 社員が厳重に警戒する特別車両

▲E655系の車内は2+1のクロス
 座っているのはJR東日本の社員

▼E655系の運転席は2階部分
 大きな画像はこちら

▲中間車に見られる3連窓
 この部分は多目的室か??

▲引退の迫る209系ウラ15編成
 大宮での停車の様子