去る2007年8月26日、私は表題の旅に一人で行ってまいりました。
今回はちょっとやそっとじゃ理解していただけない旅になっているので、最初に解説をします。
なお都合により、今回は写真の掲載をしておりません。文章のみでお楽しみ下さい。
《旅の趣旨の解説》
〜「大回りの旅」その定義は?〜
普通切符で列車に乗車し、目的地まで最短のルートで直行するのではなく、距離の長くなる別ルートを利用する旅のことです。
〜そもそもそんなことが可能なのか?〜
JRの旅客運送約款には、「東京・新潟・大阪・福岡の各近郊区間内の駅を起点・終点駅とする場合、同じルートを2度通ったり、
途中下車をしない限り、実際の乗車経路に関わらず、最短の距離で運賃を計算する」と書かれています。これに従うと、例えば、
山手線で東京駅から神田駅まで移動する場合、通常であれば130円切符を購入の上、距離の短い内回り電車に乗ることになりますが、
距離の長い外回り電車に乗って約1時間かけて神田に向っても、運賃は130円で済むという現象が起こります。
この規定をうまく利用した旅が、「大回りの旅」なのです。
「大回りの旅」であれば、わずかな運賃で都市部のJRをたっぷりと堪能することができます。特に東京近郊区間は範囲が非常に広い
ので、路線の組み合わせ次第で非常に面白い旅をすることができます。また、たまにしか乗らない路線の沿線の変化や、駅の変化も
発見することができ、誰でも楽しむことができるのが特徴です。
なお、大回りの旅のうち、東京近郊区間を利用し、自己の乗車路線が一都六県にまたがった場合、これを「一都六県大回り」と
言い、130円の運賃を払った場合には「130円・一都六県大回り」と言います。
以下本項では、東京近郊区間の「大回りの旅」を扱っていきます。
〜「大回りの旅」その魅力は?〜
やはり、設定できるルートが膨大だということでしょう。例えば130円・一都六県大回りであれば、東京→八丁堀や新宿→代々木など、
着発駅はかなり選べますし、乗車経路も運送約款に引っかからない限りで様々なパターンを設定できます。また乗車距離や時間は、
自身の都合や体力によって自由に調整できるので、無理のない旅ができます。
あとおすすめなのは、「エキナカめぐり」。これは、「大回りの旅」をしながら各拠点駅に整備が進められている「エキナカ」(例えば
エキュート大宮やディラ三鷹など)のショップをくまなく巡り、おいしいものを食べたり、限定グッズを手に入れる旅のことです。
買い物大好き!な女性は、ぜひ一度やってみるといいですよ。
〜「大回りの旅」注意点〜
ところで、「大回りの旅」をする際には、いくつか注意しなければならない点があります。
◆行路に関して
@以下の区間内にある駅は始終着駅にできない。平塚〜伊東間、西八王子〜韮崎間、熊川〜武蔵五日市間、牛浜〜奥多摩間、
群馬総社〜渋川間、小金井〜黒磯間、内原〜日立間、空港第2ビル〜成田空港間、浜野〜君津間、永田〜大原間、新芝浦〜
海芝浦間、大川駅、北鎌倉〜久里浜間
A130円の旅をする場合、始発駅の両隣の駅いずれかが130円区間でない場合は、該当駅は終着駅にできない。
例:金町駅は、亀有を終着駅にすれば130円だが、松戸駅を終着にすると160円になってしまうので、130円での旅はできない。
B必ず「その日のうち」に終わるようにする。行路を欲張って目的地に辿り着けなかった場合、及び事故等で目的地に当日中に辿り
つけなかった場合の救済措置はない。
◆切符に関して
@「Suica」「ICOCA」「TOICA」「PASMO」は使わず、普通切符を購入する方が無難(タイムオーバー制度:後述を導入している改札機
の場合、精算ができなくなり、カード自体が無効となる可能性もある)。
A鶴見駅での鶴見線・京浜東北線連絡改札、及び車掌の車内検札で切符の提示を求められることがあるので、「大回りです」と
説明すること。前者の場合は自動改札を通ると「精算してください」と言われるので、有人改札を必ず通ること。後者はあまり例が
ないが、八高線高麗川〜高崎間列車のうちツーマン列車では提示を求められたという話がある。
B一部駅の自動改札機は「タイムオーバー制度」を設定しており、入場時刻から一定の時間のたった切符については不正乗車と
みなし無効として、通してくれないことがある。この場合は駅員に説明しなければならない。
◆列車に関して
@必ず、ルートを決めたら時刻表を使って列車の時刻を調べること。飛込みでは適当な列車がないことがある。
A各駅での乗り継ぎの場合、同一ホームで乗り換えできることがわかっている場合には乗り継ぎ時間が2分程度でも大丈夫だが、
ホームを移動する必要がある場合には10分以上の余裕を見ないと乗り遅れる場合がある。本数の少ない路線では特に注意が
必要だ。
・・・まあ、総括すればこの旅は「度胸」があれば何とかなる!ってことで。しかし途中下車はできないので体調不良在りし時は
おとなしく差額を払い退散しましょう。
では、私が体験したルートを紹介します。
《ルート紹介》
@御茶ノ水07:46→中央本線快速東京行き→東京07:50
A東京07:56→東海道本線普通国府津行き→川崎08:17
B川崎08:21→南武線普通立川行き→尻手08:23
C尻手08:26→南武線普通浜川崎行き→浜川崎08:33
D浜川崎08:44→鶴見線普通鶴見行き→鶴見08:57
E鶴見09:01→京浜東北線普通大船行き→横浜09:10
F横浜09:20→東海道本線普通熱海行き→茅ヶ崎09:51
G茅ヶ崎10:17→相模線普通橋本行き→橋本11:16
H橋本11:19→横浜線快速八王子行き→八王子11:30(乗り継ぎ待ちの間に駅構内で昼食)
I八王子12:02→八高線普通川越行き→高麗川12:45
J高麗川13:02→八高線普通高崎行き→高崎14:30
K高崎14:34→両毛線普通宇都宮行き→小山16:20
L小山16:25→水戸線普通勝田行き→友部17:36
M友部17:49→常磐線快速(普通)上野行き→我孫子18:58(土浦での時間調整中に夕食購入)
N我孫子19:04→成田線普通成田行き→成田19:53
O成田19:58→成田・総武本線普通千葉行き→千葉20:30
P千葉20:40→総武本線快速久里浜行き→新小岩21:06
Q新小岩21:08→中央・総武緩行線武蔵小金井行き→秋葉原21:22(終了)
※各乗車列車の列車番号は省略しました。時刻表などでお調べ下さい。
※使用切符は言うまでもなく御茶ノ水から130円区間用の普通切符です。
《乗車編成・車両紹介と講評》
@豊田電車区(当時)所属201系T108編成(この編成、今はもうありません。)
A国府津車両センター所属E231系K-21編成(始発なのでセミクロスを余裕でゲット。)
B中原電車区所属205系ナハ39編成(この編成は元山手線。)
C中原電車区所属205系1000番台浜4編成(今回の旅で唯一の電車ワンマン。浜川崎駅は無人なので問題なく乗り換え。)
D中原電車区所属205系ナハT14編成(鶴見駅での乗り換えは要説明。休日なのでガラガラ。穴場路線。)
E浦和電車区所属209系ウラ56編成(そこそこ混んでました。)
F国府津車両センター所属E231系K-36編成(結構混んでました。大船では「踊り子」の待ち合わせ。)
G国府津車両センター所属205系500番台コツR7編成(沿線風景が結構新鮮に思えました。)
H鎌倉車両センター所属205系クラH23編成(前面の行先表示だけLEDという変わった編成。)
I川越車両センター所属209系3100番台ハエ72編成(全車両元東京臨海高速鉄道!前面展望がお奨めです。)
J高崎車両センター(高崎)所属キハ110系キハ111-205+キハ112-205(今回唯一の気動車。)
K高崎車両センター(新前橋)所属115系T1147編成(今回最も長い時間乗ったのがこれ。)
L勝田車両センター所属415系1500番台K541編成(上野から撤退して久しいですね。懐かしい気分になりました。)
M勝田車両センター所属E531系K412編成(普通列車なのに130km運転!速くて気持ちいいですね。)
N松戸車両センター所属E231系マト102編成(ガラガラで、ロングシートをベッド代わりにできそう。)
O幕張車両センター所属211系マリ402編成(昨年から房総の主となった211系。この塗装は初撮影・乗車でした。)
P鎌倉車両センター所属E217系Y-108編成(ロングシートが硬い・・・つらい。)
Q三鷹電車区所属E231系ミツ26編成(最後は珍しい武蔵小金井行き。前面展望を楽しみました。)
※今回一番多く乗車した系列は205系の計5回。
結構楽しかったです。皆さんもぜひ挑戦してくださいね。